蜜色トライアングル ~Edges of precise jade



木葉は呆然と呟いた。

圭斗は抱きしめる腕にさらに力をこめ、続けて囁く。


「よくわかったよ。おれももう遠慮はしない。どんなことをしてでも木葉を手に入れる」

「……っ……」

「ごめん、木葉。……今夜は帰さない」


圭斗は後ろから木葉の両膝を掬い、抱き上げた。

突然視界がぶれ、驚いた木葉はとっさに圭斗の肩にしがみついた。


圭斗は木葉を抱いたまま、無言で繁華街の方へと歩いていく。

木葉は何が起きているのかわからぬまま、ただ呆然と圭斗の腕の中で揺れていた。



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