蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
4.もう待たない
霞んだ視界の先で、橙色のランプの明りがぼんやりと揺れる。
薄暗い灯りの下、二人の影がゆらゆらと壁に揺れている。
窓からかすかに見える繁華街の明りはどこか玩具のようで、現実感がない。
木葉は仰向けになり、上から覆いかぶさる圭斗の唇を受け入れていた。
圭斗の手が首の裏をがっちりと押さえ込み、身動きが取れない。
「……っ……」
重なった唇の間から透明な液体が漏れる。
圭斗の唇は性急で、木葉は呼吸すらまともにすることができない。
「……んっ、け、けい……っ」
呼ぼうとしても声は唇で封じ込まれ、言葉にならない。
今は何も聞きたくない、という圭斗の意図を唇越しに感じ、体が強張る。
きめ細かい、滑らかなシーツが木葉の肌に触れる。
ここがどういう場所なのか……、木葉にもなんとなくわかっていた。
けれどどうして突然こんなことになったのか、わからない。
圭斗の唇は止まることなく木葉の唇を翻弄する。
これまで圭斗がくれたキスは、強引さもあったが、木葉に対する気遣いもあった。
しかし……。