蜜色トライアングル ~Edges of precise jade



「……ごめんな、木葉」

「え?」

「実はあのホテルでは、最後まではしなかった」

「――――え?」


木葉は思わず目を見開いた。

そんな木葉に、圭斗は自嘲するように続ける。


「木葉を抱きたいって思ったけど、……木葉がおれを好きになってくれるまで、待とうと思った」

「……」

「なのに、結局こんなことになって……。ごめん」


圭斗は痛ましげな目で言う。


――――と、いうことは。


木葉はふと体の下を見た。

体の下のにはいつのまにかタオルが敷かれ、その上には数か所、赤い印がついている。


「……っ!」


木葉はぴしりと体を固まらせた。

……何も言えない。

ショックというか、何というか……言葉にできない。

凍りついた木葉を、圭斗が優しく抱き寄せた。


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