蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
四章
1.恋心
水曜。
木葉は凛花とともにカフェで少し遅めのランチを取っていた。
木葉の前には白いプレートに乗せられたオムライスとサラダのセットが置かれている。
美味しそうにスプーンを運ぶ木葉を、向かいに座った凛花が呆れたように眺めていた。
「……あんたさ。頭の中、花咲いてない?」
「?」
「いや、サンバカーニバルか電飾パレードでもやってる感じかしら……」
凛花は言いながら木葉の右手を見た。
木葉の薬指には銀の指輪がきらりと光っている。
「いつのまにか指輪もしてるし……」
「……」
「わが兄ながら素早いわねホントに。その指輪、いきなり渡されたんでしょ? サイズとかいつ測ったんだか」
「……」
「次は昆布とかスルメとか持ってくるんじゃないかしら……」
昆布やスルメはこちらの地方では一般的な結納の品だ。
しかしそんなことは全く知らない木葉は、不思議そうに首を傾げた。