蜜色トライアングル ~Edges of precise jade



「なんで? 圭ちゃん、海にでも行ったの?」

「どこまですっとぼけてんのよアンタは……」


はぁとため息をつき、凛花は木葉を見る。

木葉は怪訝そうな顔でセットのスープをすすっていた。


「あんた、ボヤボヤしてると、すぐに茶枠の用紙に印鑑押すハメになるわよ?」

「?」

「この調子でいくと早くて再来月あたりかしらね……。下手したら来年には、あたしも『おばさん』になりそう……」


身震いしながら凛花は言う。

話の内容がよくわからない木葉は、内心首を傾げながらオムライスを食べていた。

そんな木葉に、凛花はため息交じりに言う。


「あんた。避妊はちゃんとしなさいよ?」

「――――っ!!」


突然言われ、木葉はオムライスを吹き出しそうになった。

ゲホゲホとむせ、慌てて水を飲む。


……あの夜。

木葉はそこまで気が回らなかったが、圭斗はそのあたりはしっかりしていたらしい。

あの後。

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