蜜色トライアングル ~Edges of precise jade



「そりゃ仕方ないわよ。失恋したわけだからね」

「……」

「そこまであいつも人間できてないわよ。まぁあと数年も経てば変わってくるんじゃないの?」


凛花の言葉に木葉は俯いた。

『弟じゃない』と言った時の泣きそうな顔が脳裏に蘇る。

できることなら、元の関係に戻りたい。

しかし今は距離を置くべきなのだろう。


「由弦はまあいいとして。問題は冬青よね……」

「?」

「あいつが今さら何かするとも思えないけど……」


凛花は腕を組み、うーんと考え込む。

木葉は首を傾げた。


「お兄ちゃんがどうかしたの?」

「……イヤ、何でもない。もうこの話はオシマイ!」


凛花は肩をすくめて笑い、無理やり話題を変えた。


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