蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
2.同棲!?
金曜。
木葉はジエンタで桜庭病院へと向かった。
圭斗は今日は用事があるらしく、木葉はひとりで父の病室へと向かった。
ノックして入ると、ベッドの上に身を起こした父の姿が目に入った。
「調子はどう?」
木葉の言葉に、父は以前のような快活な笑顔を見せた。
「来週水曜に退院だ。あとは家でリハビリだな」
「あまり無理しないでよ?」
木葉が言うと、父は少し笑った。
父の髪にはよく見ると白髪が混ざっている。
木葉は顔つきは母譲りだが、口元や眉の形は父譲りだ。
「ねぇ、お父さん……」
「ん?」
「お父さんはずっと昔から、お兄ちゃんと由弦が兄弟じゃないって知ってたんでしょ?」
木葉の言葉に、父は驚いたように顔を上げた。
まじまじと木葉の顔を見る。
やがて父は息をつき、木葉の方に向き直った。