蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
「冬青は6歳だったから、最初からそのことは知っていた。だが由弦にそのことを告げたのは、中学を卒業する時だ」
「……そうだったんだ……」
「薄々感づいていたようではあったがな。お前への態度が変わったのも、多分その頃だ」
確かに由弦は高校に入ってから木葉に対する態度が変わった。
『お姉ちゃん』と呼んでいたのが、二人きりの時には『木葉』と呼ぶようになった。
その時には由弦は既に知っていたのだろう。
――――自分とは血の繋がりがないことを。
「二人はお前と血の繋がりはないが、お前と兄弟であろうとした。特に冬青はその思いが強かった」
「……」
「しかしこうなった今、血の繋がりがないとお互い知っている者同士が一つ屋根の下に住むというのも問題だろう」
ふーむと父は考え込む。
木葉は無言で父の言葉を聞いていたが、次の父の言葉に仰天した。
「木葉。お前、圭斗君のところに行きなさい」
「……は?」
「どこに住むかは二人で考えるといい。圭斗君のところなら、わしも安心だ」