蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
木葉は圭斗の言葉に、ゆっくりと目を開けた。
その視線はまだぼうっとしている。
「……圭……ちゃん……」
「そうだ。しっかりしろ、木葉」
圭斗の言葉に、木葉はふわっと笑った。
まるで夢の中にいるような、幸せそうな微笑み。
その笑顔を見た瞬間、圭斗の理性にぴしりとヒビが入った。
まずいと圭斗が思った瞬間、木葉が呻くように言う。
「……圭ちゃんは……どこにも……いかないで……、ね」
ひどく弱々しい声で木葉は言う。
縋るようなその目に、圭斗は自分の理性が崩壊していくのを感じた。
木葉の唇は熱のせいか、乾燥しカサカサしている。
このままでは脱水症状を起こしてしまうかもしれない。
理性と感情が圭斗の中で波のように揺れる。
圭斗はなんとか理性を総動員し、近くにあったグラスに水を注いで木葉を抱き起した。
圭斗の手に、汗ばんだしっとりした感覚が伝わる。