蜜色トライアングル ~Edges of precise jade



圭斗に言われ、木葉は思わず頬に手を当てた。

……自分ではわからない。

見上げる木葉に、圭斗はにっこり笑って椅子を指差した。


「まだ時間あるから、診てあげるよ?」

「……え」

「ほら、早く座って?」


圭斗に急かされ、木葉は診察用の回転椅子に座った。

圭斗も診療机の前の椅子に座り、木葉に向き直る。


「顔は赤いけど……熱はなさそうだね。後で念のため、測っておこうか」

「……うん」

「胃が痛いとか、ムカつき感は、ない?」

「……う、うん」


木葉はぼうっとした頭で圭斗を見上げていた。

ここにずっと勤めてはいるものの、圭斗の診察を受けるのは初めてだ。

なんだか緊張する。


「ちょっとごめんね」


圭斗は下まぶたを引っ張り、状態を確認したあと、喉に触れた。


< 131 / 161 >

この作品をシェア

pagetop