蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
「喉が腫れてるわけでもないね」
「……」
「はい、大きく口あけてー」
まさに『お医者さん』だ。
木葉は言われたとおり、大きく口を開けた。
「喉も大丈夫。鼻のつまりとかはない?」
「ないです」
診察室だからか、思わず敬語になる。
圭斗はくすりと笑い、首からかけた聴診器を耳につけた。
「ちょっと心臓の音聞くからね。前を上げて」
「……」
木葉は事務服のベストのボタンを外し、下のシャツをまくり上げた。
シャツの裾から白い肌がちらりと覗く。
圭斗はシャツの下から聴診器の先を入れ、木葉の心臓の上に当てた。
ひんやりとした金属の感覚が伝わる。
「……脈は問題ないね。不整脈とかもなさそうだね」
「……」
「呼吸音も問題ないね。下ろしていいよ。次は後ろね?」