蜜色トライアングル ~Edges of precise jade



「木葉、水を飲むんだ」

「……」


グラスの縁を木葉の口元に当てるが、意識が半分飛んでいるせいかうまく飲めない。

水を欲しがっている様子ではあるが、唇の端から水が零れ落ちる。


圭斗はしばし逡巡した後、グラスの水を自分の口に含んだ。

――――これだけなら、なんとか理性で止められるだろう。

圭斗はそう自分に言い聞かせ、木葉の唇を少し押し開き、自分の唇を押し当てた。


「……っ」


口越しに注がれた水を、こくんと木葉が飲み下す。

圭斗は木葉の唇の感触に我を失いそうになった。


木葉はもっとと欲しがり唇を動かす。

その可愛らしい動きに、圭斗は思わず息を飲んだ。

胸の奥から湧き上がる激情に突き動かされ、再びグラスを呷る。


……一度、二度、三度……


圭斗は木葉の背を抱き、何度も口移しで水を与えた。

そうしているうちに、木葉は物足りなくなったのか圭斗の唇に吸い付いてきた。

水分を求めるように舌先で圭斗の唇をなめ、歯列に触れる。

その瞬間、圭斗の理性は砂のように崩壊した。


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