蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
4.七夕祭り
7月。
木葉は圭斗と隣町の七夕祭りに来ていた。
海沿いのこの町では毎年、七夕に合わせて商店街で七夕祭りをやっており、幼い頃は桐沢家と角倉家でこの祭りに来ていた。
夜空にせり出した竹に、華やかな短冊飾り。
紙で作られた色とりどりの短冊飾りが、夜風に揺れてざざっとなびく。
「わぁ……」
七夕祭りに来るのは何年振りだろう。
子供の頃に戻ったようなあどけない笑顔を見せる木葉に、圭斗は微笑んだ。
「きれいだね。おれも来るのは久しぶりだよ」
「ねぇ圭ちゃん、あっち行こう!」
木葉は露店が並ぶ方へと歩き出す。
紺に赤や橙の花模様、黄色い帯を締めた木葉は、まるで光に飛んでいく蝶のようだ。
圭斗は慌てて木葉を追い、その肩を抱いた。
「そんなに急がなくても。迷子になるよ? ゆっくり行こう」
「……ん、そうだね。ごめんね圭ちゃん」