蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
おじさんは圭斗に林檎飴とおつりを手渡した。
圭斗はそれを受け取り、にこりと笑って木葉に差し出す。
「はい、どうぞ」
「……ありがとう、圭ちゃん」
木葉は頬を染め、林檎飴を受け取った。
やはり圭斗はどこでもスマートだ。
このスマートさは年上だからというだけではないような気もする。
木葉が圭斗の年齢になっても、こうはできないだろう。
木葉は受け取った林檎飴を口に含んだ。
砂糖の甘さが口いっぱいに広がる。
唇が砂糖で濡れ、光る。
赤い林檎飴を舐めるその姿はどことなく色っぽい。
圭斗は目を細め、苦笑した。
「……木葉、こっちに来て?」
「?」
「人混みで食べるより、こっちの方がゆっくり食べれるよ」
圭斗は露店の脇から商店街の通路の方に木葉を導いた。
建物の影になり、ここからは木葉の姿は誰にも見えない。
木葉は林檎飴を舐めながら圭斗を見上げた。