蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
「ね、圭ちゃんは? ……欲しいもの、ないの?」
圭斗を見上げる木葉の唇が艶やかに光る。
圭斗はその唇に素早くキスを落とした。
「……!」
驚く木葉に、圭斗はにこりと笑った。
「今もらった。……喉乾いただろ? 何か飲み物買ってくるよ。ここにいて?」
圭斗は木葉の頭をポンと叩き、身を翻した。
そのまま颯爽と人混みの中へと向かっていく。
もう、圭斗と何度キスしたかわからない。
けれど、今みたいに突然キスされると胸がドキドキしてしまう……。
木葉は圭斗の後姿を眺めていた。
……浴衣が良く似合う、均整のとれた体。
圭斗の姿を通りかかった女性たちが目で追っている。
やはり傍目から見てもカッコいいのだろう。
「……圭ちゃん……」
圭斗が傍から離れるとなんとなく心細い。
昔、ここに皆で来た時、木葉は圭斗に手を引かれて歩いたのを思い出した。