蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
『けいちゃーん』
『どうしたの、木葉? ……足、痛いの?』
『ううん、大丈夫。ねぇけいちゃん、木葉はね……』
幼かったあの頃、木葉は圭斗が大好きだった。
圭斗と遊んでいるとあっという間に時間が過ぎるような気がした。
圭斗が帰るというと、帰らないでと泣きついた。
すると圭斗は困ったような、けれど優しく暖かい瞳で木葉を見た。
今も変わらない、圭斗の瞳。
あの頃も木葉は圭斗が好きだったが、今の『好き』はそれとは違う。
この数か月、まるでジェットコースターのような感じではあったが、木葉はもう圭斗と離れることなど考えられない。
――――ずっと、圭斗と一緒にいたい……。
「お待たせ、木葉」
圭斗はお茶のペットボトルを片手に戻ってきた。
優しく微笑むその瞳に目が吸い寄せられる。
……あぁ、今も昔も、私は圭ちゃんが大好きなんだな……。
木葉はしみじみと、そう思った。