蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
「隣の部屋から、木葉とあいつらの楽しそうな声がして……」
「……」
「なんでおれは木葉と兄弟じゃないんだって思ったよ。兄弟ならずっと一緒に居れるのに、ってね。だけど……」
圭斗は木葉の背をぐっと抱き寄せた。
木葉の髪が圭斗の肩に押し付けられる。
「……兄弟じゃなくて良かったって、今は心から思ってる」
「圭ちゃん……」
「兄弟じゃなくても、一緒に居ることはできる。兄弟よりもっと近いところに……」
圭斗の言葉が木葉の胸に波のようにさざめく。
木葉が圭斗の妹になれたらと思ったように、圭斗も木葉の兄になりたいと思ったのかもしれない。
けれど、今は……。
「圭ちゃん……」
「木葉。……ずっと一緒にいよう。ずっと……」
圭斗の唇が木葉の頬をかすめる。
木葉は圭斗の浴衣のすそをぐっと握った。