蜜色トライアングル ~Edges of precise jade

6.約束の指輪




二週間後。


木葉は圭斗とともにマンションの見学に来ていた。

父の話の後、圭斗と話をし、来月から一緒に住むことになった。

圭斗は既にいくつか見当をつけていたらしく、木葉が相談すると良さそうな物件をすぐにピックアップした。


『もともと、資産運用で探してはいたんだけどね』

『そうなんだ』


木葉は詳しくは知らなかったが、圭斗は既にマンションを幾つか所有しているらしい。

といってもそれらは全て賃貸で貸しているので、木葉と住むマンションはまた別に探さなければならない。


『冬青も確か何件か持ってるはずだけどね。多分あいつの方が、そういうの詳しいんじゃないかな』

『えっ、そうなの?』


兄からはそんな話を全く聞いたことがない。

驚いた木葉に、圭斗はくすりと笑った。


『あいつああ見えて、実はいろいろ手広くやってるんだよ』

『……』

『教祖を廃業しても別の道で食べていけるんじゃないかな?』


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