蜜色トライアングル ~Edges of precise jade




そう言われるとお洒落した甲斐があるというものだ。

凛花に教えてもらいながら、化粧もいつもより頑張ってみた。

これまであまり化粧に興味はなかったが、誰かのために化粧するのはとても楽しい。


「圭ちゃんもかっこいいよ。そういう細身のスーツ、とても似合うね」

「ありがとう」


にこりといつもの優しい微笑みで圭斗が笑う。

圭斗とは何度かこういうレストランに来ているが、今日はまた違うレベルのお店だ。

周りの客も皆ドレスコードで、優雅に酒のグラスを傾けている。

二人は運ばれてきた料理をワインとともに楽しんだ。


「ね、木葉」


いつもの口調で圭斗が話しかける。

木葉はグラスを置き、圭斗を見た。


圭斗の目はいつもの優しい目だが、どことなく真剣だ。

首を傾げた木葉の視線の先で、圭斗はテーブルの下から小さな紺色の箱を取り出した。

ビロードのその箱はテーブルの隅に置かれたキャンドルの光を受け、眩く輝いている。


「……」

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