蜜色トライアングル ~Edges of precise jade



圭斗が箱を開けると、中から指輪が現れた。

前に圭斗にもらった指輪とは違って真ん中にダイヤがついており、その周りはルビーやサファイアなど色とりどりの小さな宝石で飾られている。

美しいが、どこかかわいらしい。

木葉は思わず声を上げた。


「キレイ……」


木葉の言葉に、圭斗は少し笑った。

すっと背筋を伸ばし、正面から木葉を見つめる。


「もう何度も言ったけど、もう一度、ちゃんと言おうと思って」

「圭ちゃん……」


顔を上げた木葉に、圭斗は眼鏡の奥の瞳を細めて笑った。

木葉の大好きな、優しい微笑み。


「木葉、おれと結婚してほしい」


圭斗は言い、指輪を木葉の左手の薬指にはめた。

指輪はキャンドルの光を受けてきらきらと輝く。

木葉はじわりと目頭が熱くなるのを感じた。


「……っ」

「……返事は?」

「……はい」


< 159 / 161 >

この作品をシェア

pagetop