蜜色トライアングル ~Edges of precise jade



震える声で木葉が答えると、圭斗はほっとした表情で肩を下ろした。

その表情に、木葉はくすりと笑った。


「圭ちゃんでも緊張するんだね?」

「当たり前だろう? 一生に一度だ」


ふふと圭斗は笑い、グラスを持ち上げた。

その仕草は大人っぽく優雅で、ここの雰囲気にとても似合っている。


「マンションとか結納とか言ってる段階で、今更とも思ったけど……。でもちゃんと言っておきたかったんだ」

「圭ちゃん……」

「指輪は、本当は木葉と一緒に選んだ方がいいかと思ったけど、どうしても今日渡したくて。別のがいいなら、一緒に見に行くけど……どうする?」


圭斗の言葉に、木葉は首を振った。

指輪は木葉の手にしっくりと馴染んで、とても美しい。


「ううん。これがいい」

「そう?」

「圭ちゃんが私に選んでくれた、この指輪がいいの」


指輪はキャンドルの光にキラキラと光っている。

木葉の嬉しそうな顔に、圭斗も笑顔を浮かべた。


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