蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
その言葉も、肌に触れる温もりも、圭斗の笑顔も……。
恐ろしいぐらいに現実感がない。
何が何だか、わからない。
今、目の前にいるのは本当に圭斗なのだろうか?
確かに、夢の中で何度も圭斗の名を呼んだ気がする。
この肌の温かさも、この香りも……夢の中で触れた気がする。
しかし……。
「……っ……」
従兄弟で、兄のようで、大人で、近くて遠い距離にいた圭斗が……。
――――今は、すぐ隣にいる。
一瞬で詰められた距離に、木葉は困惑した。
呆然とする木葉に圭斗は真剣な瞳で告げる。
「木葉。こうなった以上、もう他の選択肢はないよ?」
「……圭ちゃん……」
「あったとしても、この手で潰す。どんな手を使ってでもね」
圭斗はいつもの笑顔ではっきりと言い切った。
その笑顔に木葉は違和感を感じた。
――――これは圭斗なのだろうか?