蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
笑顔も、声も、眼差しも……、いつもの圭斗だ。
だが、何かが違う。
その違和感に、木葉は得体のしれない不安を感じた。
薄氷の上を歩いているような、不安。
その不安から逃げるように、木葉は唇を開いた。
「でも……圭ちゃん、彼女がいるんじゃ……」
と聞いた木葉に。
圭斗はあっさりと言った。
「彼女? ……いないよ、そんなの」
「……え……」
「木葉だけだよ。確かに昔はいたこともあるけど、おれが本当に好きだったのは木葉だけだ」
圭斗は甘く掠れた声で囁き、木葉の額に軽い口づけを落とす。
突然のことに木葉は反射的に頬を染めた。
その表情を見、圭斗は愛おしげにくすりと笑う。
「あれだけ乱れといて……今さら照れるんだ?」