蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
4.婚約宣言
一時間後。
CZ-Rに乗り込んだ二人は桜庭病院へと向かっていた。
今日は父の洗濯物を取りに行く日だ。
それを思いだしたのは、車に乗って携帯を開いた時だった。
冬青から届いたメールを見、ようやくそれを思いだした。
木葉は無言で助手席に座っていた。
あまりのことに頭の整理がおいつかない。
――――昨日。
井戸での出来事を思い出した木葉は、混乱して小野寺馨に連絡した。
そして20時、小野寺馨とあの部屋に行った。
そこまでは覚えている。
しかしなぜ、圭斗と一夜を過ごすことになったのか?
確かに関係があったことはおぼろげながら覚えている。
意識はほとんど飛んでいたが、圭斗の体の感触は体中に残っている。
そして、圭斗の言葉……。
『木葉も同じ気持ちだって知って、とても嬉しい』
『お前もおれが好きだって言ってくれて、信じられないくらい嬉しかった』
――――自分は、圭斗が好きだったのだろうか?