蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
ははと清二は血色のよい顔で笑う。
ベッドに近づいた圭斗を、昭子が怪訝そうに見上げた。
「そういえば、圭斗……。あなた昨日の夜、どこに行ってたの?」
「ああ……、それですが」
母の言葉に、圭斗は清二に向き直った。
その顔はいつも通り穏やかでにこやかだが、少し緊張している感じもする。
怪訝に思いながら圭斗を見上げた木葉の視線の先で……。
圭斗は想定外の言葉を口にした。
「あと報告になって申し訳ないのですが……。実はおれと木葉は、結婚前提でお付き合いをしています」
「――――は?」
皆がぽかんとした顔で圭斗を見上げる。
木葉も圭斗の言葉に度肝を抜かれ、呆然と圭斗を見上げていた。
皆の視線を一手に集める中、圭斗は新聞の記事でも読み上げるかのような流暢さですらすらと続ける。
「後で落ち着いたら言おうと思っていたのですが、この際なので言わせて下さい。実は今朝も、木葉と一緒にいました」
「…………」
「叔父さんの許しを得なかったことは謝ります。でもおれは、本気です。木葉との将来を本気で考えています」