蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
『木葉!』
『……けいちゃん……』
圭斗は急いで木葉に駆け寄り、跪いた。
水の中で木葉の右足が紅く腫れている。
どうやら川で滑って足をひねり、立てなくなったらしい。
見ると、長時間水の中にいたせいか木葉の顔は青白く、ぶるぶると震えている。
その瞳は圭斗を縋るように見上げている。
『大丈夫か!?』
圭斗は木葉を抱き上げ、背におぶった。
とにかく父のところに連れて行かなければならない。
圭斗は画材を放ったまま来た時とは倍の速さで山を下りた。
そのまま家まで走って帰り、父のいる診察室に駆け込む。
『圭斗? ……それに、木葉?』
ちょうど休憩中だった父は二人の只事ならない様子に驚き、椅子から立ち上がった。
木葉はさっきとは違う真っ赤な顔で意識が朦朧としていた。
怪我と、水に浸かって身体が冷えたことで熱が出たのだろう。
父は木葉を急いで診療台に寝かせると、看護師に手早く指示をした。