蜜色トライアングル ~Edges of precise jade



「ねぇ、凛花ちゃん」

「ん?」

「圭ちゃんって昔、付き合ってた人いたよね? どんな人だった?」


圭斗の過去の恋人については、『いた』という程度しか聞いたことがない。

その時はあまり深く聞きもしなかったが……。

凛花はうーんと首をひねった。


「そうねぇ。私が知っているのは、二人」

「二人?」

「そ。一人は大学の時。同じ医学部の女の人で、何回か会ったことあるけど……長い黒髪の和風美人て感じだったわ」

「……」

「二人目はインターンの時。大手商社に勤めるキャリアウーマンと、二年ぐらい付き合ってたかな?」


女医とキャリアウーマン。

どちらも『大人の女性』というイメージだ。

木葉は頭の中で、見たこともない彼女たちが圭斗の隣に並ぶ姿を想像した。

……お似合いな気がする。

でも。


――――想像すると、胸が痛い。


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