蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
――――数分後。
木葉は肩を上下させ、ゾンビ撃退部隊から脱隊した。
圭斗も銃を置き、ゾンビコーナーを離れる。
「次はどれがいい?」
「んーっと……そうだなぁ。あれ!」
木葉はクレーンゲームを指差した。
ピンク色のフワフワした丸っこいぬいぐるみが、ガラスケースの中に山のように積まれている。
――――他のクレーンゲームの商品はいまいちピンとこないが、あれは可愛い。
木葉は圭斗を見上げた。
「あれがいい!」
「取ってやろうか? おれ、わりとクレーンゲームって得意だよ」
「え、そうなの?」
「ほら、クレーンをカテーテル、あのピンクのを病巣って思えば……」
「……やっぱいい」
木葉は眉根を寄せ、くるりと方向を変えた。
――――やはり圭斗は筋金入りの医者らしい。
可愛いと思ったのに、そう言われると得体の知れないものに見えてくる。
病巣と言われたぬいぐるみを横目に、木葉はカートコーナーへと歩き出した。