蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
「それじゃあ圭ちゃんに有利じゃん! なんかハンデがないと……」
「それもそうだな……」
なるほどと圭斗は頷き、画面を指差した。
「じゃあ、一周分ハンデをあげるよ。全部で十周だから、おれは木葉が一周したところでスタートする」
「わかった!」
木葉は意気揚々と席に座った。
コインを入れ、画面のカウントに従ってアクセルを踏み始める。
3、2、1――――スタート。
木葉はスタートとともにアクセルを踏んだ。
なかなか良い滑り出しだ。
「じゃあそろそろ出るかな?」
と、圭斗がアクセルを踏んだ時。
圭斗の画面の正面に見覚えのある車が映った。
必死にアクセルを踏む木葉の耳に、圭斗の困惑した声が入る。