蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
20:00。
二人はお台場の沿岸にある、夜景が見渡せるレストランで夕食をとっていた。
レストランの窓からはレインボーブリッジが一望でき、水上バスが蛍のような光を放ちながらブリッジの下を通過していく。
沖の方には羽田に着陸する飛行機が赤い光を明滅させながら高度を落としていくのが見える。
圭斗に案内されたのはスペイン料理の店だった。
パエリアが有名で、テレビや雑誌でも何度も特集されている人気の店らしい。
席に案内された二人はメニューの中から良さそうなものを何点かオーダーした。
ゲームセンターで体を動かしたせいか、異様にお腹が減っている。
木葉は運ばれた料理をぱくぱくと食べてしまった。
そんな木葉を、圭斗が楽しげに見つめる。
その視線に微かに混じる熱情に、木葉はドキリとしつつも、心の中に黒い何かが沈んでいくのを感じていた。
今日は初めてのデートということで、行先も食事も、全て圭斗がセレクトしてくれた。
自分は初めての『デート』だけれど、圭斗は明らかに慣れている。
圭斗の方が6歳年上だし、過去に彼女もいたわけだし、慣れているのは当たり前だが……。
この店も、きっと前の彼女と来たんだろうな……。
そう思うと、胸がぎゅっと詰まる。