蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
木葉はあの夜のことを圭斗に説明した。
……自分達が本当の兄弟ではないことを思い出したこと。
……小野寺馨に相談するためあのホテルに行ったこと。
木葉の話を一通り聞き終えた後、圭斗はテーブルに片肘をつき、目元を覆った。
「……そうか。思い出したんだね、木葉」
「圭ちゃん……」
圭斗は瞳を陰らせ、長い睫毛を伏せた。
何かを考え込むような表情に、木葉は首を傾げた。
やがて圭斗が顔を上げ、木葉を真っ直ぐに見た。
「……ね、木葉」
「ん?」
「そのこと、二人に言った?」
圭斗の言葉に木葉は軽く首を振った。
「ううん、まだ言ってないよ」
と木葉が言うと。
圭斗はにこりと笑い、言い含めるように言った。
「そうか。言わない方がいいかもしれないね、二人とも混乱するだろうから」
「……」
「二人にはこれまで通り、普通に兄弟として接するといいと思うよ。血の繋がりがなくても、20年以上一緒に生活してきたんだから、本当の兄弟も同然だよ」
「……そうだよね」