蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
圭斗の言葉はすとんと木葉の中に落ちていく。
確かに血が繋がってないとはいえ、この二十年、自分たちは兄弟として生活してきた。
今さらそれを蒸し返したところで、自分たちの関係が変わるわけでもないだろう。
木葉はほっとしつつ、圭斗を見た。
「そういえば、圭ちゃん」
「ん?」
「あれから、伯父さんや伯母さん、何か言ってた?」
デザートのプリンを掬いつつ聞いた木葉に、圭斗は食後の紅茶を片手に肩を竦める。
「いろいろ聞かれたよ。いつから? とか、どういう経緯で? とか」
「……」
「まさか本当のことを言うわけにいかないからね。適当に濁しておいたよ。もし人前でそういう話になったら、おれが誤魔化すから。木葉は心配しないで?」
圭斗の言葉に木葉はハハと笑った。
まさかワンナイトラブから始まりましたなどとは口が裂けても言えない。
しかしあの夜がきっかけだったとはいえ、自分達は幼い頃から一緒にいた。
こういう恋の始まり方もあるんだなとしみじみ思う木葉に、圭斗が聞く。
「木葉、この後はどうする?」
プリンを口に運んでいた木葉は、圭斗の言葉にぴたりとスプーンを止めた。
――――この後。