蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
2.好き?嫌い?
21時。
二人はレストランのデッキから続く運河を歩いていた。
運河からの対岸には都内の夜景が広がっている。
ビルの上で点滅する赤い光が、宝石がきらめいているようでとても美しい。
木葉は大きく伸びをした。
初夏の夜風は爽やかで気持ちがいい。
「キレイな夜景だね~」
「ああ」
「上から見るともっとキレイなのかな?」
「かもしれないね。今度また、夜景を見に行こう」
インペリアルタワーのホテルは高層階だったが、あの時は夜景を見ている余裕など全くなかった。
あの夜のことを思い出すと、頬が熱くなる。
木葉は慌てて脳裏に浮かんだ光景を振り払い、圭斗を見上げた。
「そういえば、圭ちゃん」
「ん?」
「私のこと……いつから、好きだったの?」