蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
木葉の質問に、圭斗は足を止めた。
驚いたように木葉を見つめた後、その目元に優しい笑みを浮かべて木葉の肩を抱き寄せる。
ふわりと香る柑橘系の香りに、木葉はドキリとした。
圭斗はそのまま木葉を運河の欄干に誘い、夜空を見上げる。
木葉は圭斗の腕の温かさを感じながら、その端正な横顔を見上げた。
「いつ……といってもはっきりとは覚えてないな。でも中学を出るときには、好きだって自覚してた」
「……そうだったんだ……」
「いつも木葉といるあいつらが羨ましかったよ。同時に心配もしてた。木葉があいつらを好きになるんじゃないかって」
圭斗は言い、木葉の肩をぐっと抱き寄せる。
木葉は頬を染め、目を伏せた。
――――圭斗も、ずっと不安だったのだ。
圭斗は大人だ。
でも大人だからといって不安が全くないわけではない。
木葉の気付かないところで、圭斗も不安を抱えていたのだ。
これまでは、圭斗の気持ちを知らなかった。
でもこれからは、知っていきたい。
そう思うのは、圭斗に惹かれているからなのだろうか?
思いに沈む木葉に、圭斗は問いかけるように言う。