蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
「木葉は……どうなの? おれのこと、どう思ってた?」
「……え?」
「少しでもいい。好きだって……思ってくれてた?」
圭斗の言葉に、木葉は押し黙った。
もちろん、『好き』だった。
――――幼馴染として、従兄弟として。
しかしその『好き』は、圭斗が望む『好き』ではないのだろう。
「私、圭ちゃんのこと……大人だって思ってた。優しくて、カッコよくて……憧れてた」
「……木葉……」
「もちろん、好きだったよ。でも……」
恋愛の対象として『好き』だったかというと、断言できない。
大人な圭斗に憧れていた。
圭斗の彼女は幸せだろうなと思ったりもした。
けれど……。
この気持ちが何なのか、断言できない。
押し黙った木葉だったが、圭斗の指に顎を掬われ、はっと息を飲んだ。
圭斗の瞳が木葉を見つめる。
熱く切なげな、その眼差し……。