蜜色トライアングル ~Edges of precise jade



圭斗は自分の中に熱いものがこみ上げてくるのを感じていた。

これまで木葉は凛花と同じ、妹と同じような存在だった。

しかし今、木葉は圭斗の中で凛花とは全く違う存在となった。


木葉は熱に染まった頬で苦しげに呻いている。

圭斗は唇を噛みしめた。

……もう二度と、木葉のこんな姿を見たくはない。

そしてもう二度と、こんな無力な自分を木葉の前に晒したくはない。


――――この子を、守りたい。

木葉を守るのは、助けるのは、自分でありたい。


誰よりも木葉の近くで、彼女を守っていきたい。

そのための手段が医者になることなら――――自分は、医者になる。


圭斗は木葉の頬に手を伸ばした。そして心の中で誓った。


『木葉。おれは絶対に、医者になるよ……』



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