蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
3.指輪
月曜日。
木葉は病院の受付カウンターで患者の受付処理を行っていた。
保険証を確認し、診察券を作り、カルテを用意する。
今日は月曜なので患者が比較的多い。
朝から込み合う待合室に、見覚えのある男が飛び込んできた。
「おはようございます!」
男は額から汗を流し、ゴムマリのような体を揺らして近づいてくる。
……佐山だ。
佐山は受付カウンターの前まで来ると、びしっと背筋を伸ばした。
「師姉、おはようございます! 今日は師姉が受付なんですね、非常に光栄です!!」
「……」
ははと木葉は愛想笑いし、佐山から診察券を受け取った。
コンピュータに患者番号を入力し、手早く受付処理を行う。
後ろで事務の春野さんとナースの沢井さんがヒソヒソと会話している。
「あれ、佐山さん……だよね?」
「一体何があったのかしら……?」
二人がそう思うのも当然だ。
道場でのことを知らない人にとってはまるで別人のように思うだろう。
やはり兄の力は普通ではない。