蜜色トライアングル ~Edges of precise jade



木葉は佐山のカルテを持ち、診察室に入った。

診察室の隅に置かれた机のところで、圭斗はカルテにペンを走らせている。

その横顔はまさに医師という感じだ。


「先生、佐山さんです」


木葉が声をかけると、圭斗は顔を上げた。

木葉が差し出したカルテを受け取り、中身を手早くチェックする。


「今日は血液検査の結果……だな」

「はい」

「了解。通して」


木葉はドアを開け、佐山を呼んだ。

佐山は汗を拭き拭き診察室に入り、圭斗の前の椅子に座る。


「今日は血液検査の結果ですね。……血中脂質と尿酸値が少し高めですが、数値は大分安定してきています」


圭斗は血液検査の結果表を見ながら丁寧に説明する。

佐山は身を乗り出し、圭斗の話を聞いていた。


「甘いものや脂っこいものは、できるだけ控えてください。そうすればコレステロールのバランスも改善されるでしょう」

「はいっ」

「ところで、あれから何か運動とか始めましたか? 少しお痩せになった気が……」


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