蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
12時過ぎ。
午前の診療を終え、帰り支度をしていた木葉の耳に、沢井さんと春野さんの声が聞こえてきた。
どうやら事務所で昼食をとっているらしい。
『……って、そうだよね?』
『見た見た。ティファニーでしょ?』
『全くそんな感じしなかったのにね~』
何のことを話しているのかはよくわからない。
しかし次に続いた言葉に、木葉は顔を強張らせた。
『にしても若先生、木葉ちゃんみたいな子がタイプだったなんてね~』
『もっと大人の女性がタイプだと思ってたのに。なんか大人と子供って感じよね?』
『先生と生徒って感じもするよね~。デートっていうか遠足? みたいなー』
――――遠足。
木葉はガクリと肩を落とした。
やはり傍からはそう見えるのか。
と思ったその瞬間。
脇から右手をとられ、木葉は驚いて顔を上げた。