蜜色トライアングル ~Edges of precise jade



「……っ?」


そのままぐいと腕を引かれ、診察室に引きずりこまれる。

驚き見上げた木葉に、圭斗はくすりと笑った。

木葉の腰に腕を回し、手にしていた木葉の右手に唇を寄せる。


指輪越しに、圭斗の唇の感触が伝わる。

どきりとした木葉に、圭斗は眼鏡の奥の瞳を細めて微笑う。


「ちゃんとつけてくれてるね、木葉?」

「……圭ちゃん……」

「これまでペアリングとかしたことなかったけど。……でもいいね。木葉はおれのものだってアピールしてる気分になる」


圭斗の瞳が妖艶な光を帯びる。

白衣を着ている圭斗はカッコよさが3割増だ。

銀縁の眼鏡の奥で、圭斗の瞳がすっと細められる。

木葉は氷のように固まった。


「道場でも、外さないようにね?」

「……う、うん」

「もし外したら……何するかわからないよ? おれ」

「え……ええっ!?」


――――それは脅迫だ。

と思いつつも、圭斗の視線から逃れることができない。



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