蜜色トライアングル ~Edges of precise jade



「……圭斗がそれ、くれたんだ?」

「あ、うん……」

「そう、とても似合ってるよ」


にこりと由弦は笑い、木葉の目を覗き込んだ。

……めったに見ない由弦の笑顔。

ほっとした木葉だったが、間近で見たその瞳は氷のように冷たい。


息を飲んだ木葉の前で、由弦の笑顔が消えた。

由弦はクッと笑い、横目で木葉を見る。


「……なんて、言うと思う?」

「え?」

「木葉には似合わねぇよ、……そんな指輪」


由弦は木葉の右手に手を伸ばし、指輪を取ろうとする。

突然のことに、木葉はとっさに右手をかばった。


「やめてっ!」


叫び、由弦を見上げる。

その瞬間、木葉は息を飲んだ。


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