蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
「わかったよ。……木葉が悲しむようなことは、オレだってしたくない。納得したわけじゃねぇけどな」
「……」
「だがあいつが木葉を泣かすようなことをしたら、許さねぇ」
由弦は静かに言い、二人に背を向けた。
ゆっくりと玄関の方へと歩いていく。
その背を見送った二人は、はーっと息をついた。
「ありがと、凛花ちゃん」
「ていうか、あんたねぇ……」
と、今度は凛花が木葉の方に向き直ろうとしたとき。
見覚えのある黒い車体が道路の端を横切った。
CZ-Rはかつてないスピードで駐車場に入り、キキーッと音を立ててドリフト駐車する。
まるでF1のようなその動きに二人は唖然とした。
「……早いわね」
凛花は車を見、肩をすくめた。
二人の視線の先で、運転席から圭斗が下りる。
歩み寄ってくるその姿を、木葉は呆然と見つめていた……。