蜜色トライアングル ~Edges of precise jade



木葉に何かあったのかもしれない。

と、眉根を寄せた時。

このメールが携帯に飛び込んできたのだ。


「インペリアルタワー・ホテル……?」


インペリアルタワーは渋谷の町中にある複合施設だ。

こんな夜中に、木葉が何の用事もなしにこんなところに行くとは思えない。


――――嫌な予感がする。


圭斗は上着を羽織り、車のキーを手に駐車場へと向かった。

まずはインペリアルタワーに行ってみて、木葉がいなければ桐沢家に行ってみればいい。


夜の高速は空いており、CZ-Rは30分もしないうちにインペリアルタワーに到着した。

車を地下駐車場に置き、エレベーターへと向かう。

駐車場はがらがらで、圭斗の車以外に4、5台の車しかない。


圭斗はエレベーターに乗り込み、42階のボタンを押した。

やがてエレベーターはポーンという音と共に42階に到着した。

そのまま急ぎ足でエレベーターを降り、メールにあった角部屋に向かう。


「……ここか?」


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