蜜色トライアングル ~Edges of precise jade



木葉の胸に痛みと共に切なさが押し寄せる。

涼子は女医だ。

彼女は圭斗と同じ世界で生きている。

自分とは違って……。


「……」


心の中に黒いものが広がっていく。

木葉は唇をかみしめた。


涼子の美貌、綺麗な黒髪、完璧なプロポーション。

――――そして女医という立場。


涼子は木葉とは正反対の『大人の女性』だ。

彼女に比べると、自分が取るに足らないもののように思える。

昔なら『あれが圭ちゃんの元カノかー。キレイな人だね』と凛花に話し、それで終わっていただろう。

けれど、今は……。


木葉はぐっと拳を握りしめた。

――――これが、嫉妬というものなのだろうか?


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