蜜色トライアングル ~Edges of precise jade



衝撃で何も考えることができない。

請求処理をしなければならないのに、何も頭に入ってこない。


こんなにショックを受けるなんて……。


俯いた木葉の肩を、凛花が叩く。


「……ねぇ、木葉」

「……」

「木葉!」


凛花に呼ばれ、木葉ははっと顔を上げた。

見ると、診察室から涼子と圭斗が出てくるところだった。

二人は何やら話しながら裏の事務室の方へと歩いていく。


「……」


魂が抜けた様子の木葉の肩を、凛花がポンと叩いた。


「あんた、今日はもう上がっていいわ」

「……え」

「それじゃ仕事にならないでしょ。後で圭兄に連絡させるから」


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