蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
圭斗は昔、あの人と付き合っていたのだ。
この間行った店にも、夜景を見たあのビルにも、恐らく一緒に行ったことがあるのだろう。
いろいろな場所に一緒に行き、いろいろな会話をし、そして……。
――――体の関係もあったはずだ。
あの綺麗な人を抱いた圭斗が、自分の体を見てどう思ったか。
考えたく、ない……。
「……っ」
あれから木葉は圭斗と何度かデートをしたが、圭斗は必ずその日のうちに家まで送ってくれた。
あの最初の日以来、ホテルに行ったことはない。
まだ木葉がそういったことに躊躇していると思っているのか、キスはしてもそれ以上のことはしてこない。
自分がお子様だからなのか、それとも自分に魅力がないからだろうか……。
「うっ……くっ……」
木葉はベッドに突っ伏した。
胸にこみ上げる痛みは涙となって頬を伝い落ちる。
いつのまにか自分は、こんなに圭斗を好きになっている……。
『好きになれればいい』と思っていたが、実際に好きになればこんなにも苦しい。