蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
冬青の言葉に木葉は首を振った。
圭斗は何も悪くない。
泣いていたのは木葉自身の問題だ。
冬青は木葉をしばらく見下ろしていたが、やがてベッドの傍に片膝をつき、正面から木葉を見た。
冬青のひんやりした手が木葉の頬に触れる。
甘いサンダルウッドの香りが鼻先をかすめていく。
「……木葉、話せ」
兄の言葉は簡潔で、冷静だ。
しかし木葉はいつも通りの兄の態度に、心のどこかで安心感を覚えていた。
血が繋がってなくても、やはり冬青は兄だ。
いつも変わらず自分のことを気遣ってくれる。
木葉は意を決し、圭斗とのことを告げた。
「あ……のね、お兄ちゃん……」
「……」
「私……」