蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
圭斗はドアに耳を寄せ、軽くノックしてみた。
が、返事がない。
圭斗は意を決し、ドアノブに手をかけた。
そのまま手に力を込め、回す。
ドアはガチャッという音と共にあっけなく開いた。
「……?」
圭斗は薄暗い灯りのついた室内を目を凝らして見渡した。
室内は広く、余裕のある造りだ。
恐らくセミスイートクラスの部屋だろう。
やがて圭斗は、奥に見える寝室に誰かが横たわっていることに気が付いた。
シーツに散らばった黒い髪、夜目にもわかる白い肌……。
圭斗は思わず声を上げた。
「木葉っ!?」
木葉は体を屈め、苦しそうにうめいている。
シーツからは白い肩と素足がはみ出し、頬はうっすらと上気している。
服は着ておらず、白いシーツが体の形を浮き彫りにしている。
圭斗は血の気が引くのを感じた。