蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
3.焼けつく心
翌朝。
鏡で自分の顔を見た木葉は愕然とした。
「やばっ……」
泣いた上に寝不足だったからだろうか、目の下に隈ができている。
顔も青白く、化粧をしても誤魔化せそうもない。
しかも寝不足で頭がフラフラする。
携帯を片手に階段を下りた木葉を冬青が見咎めた。
「……おい、木葉」
「あ……おはよ、お兄ちゃん」
「なんだその顔は」
ずさっと言った冬青に、木葉はがくりと肩を落とした。
ここまで完璧な美貌の人間にそう言われるとなんだかとても胸に堪える。
もちろん、冬青がそういう意味で言っているのではないことは重々承知しているが……。
木葉は携帯をテーブルに置き、フラフラとキッチンに歩いた。
水を一杯飲み、振り返る。
と、兄は自分の携帯に何やら打ち込んでいる。
「その顔で病院の受付に座るわけにもいかないだろう。今日は休め」
「……え」
「俺から圭斗に連絡しておく」