蜜色トライアングル ~Edges of precise jade
冬青は嘘はつかない。
恐らくメールに書いてある通りなのだろう。
だが圭斗は冬青がそのメールをしてきたこと自体に憤りを感じていた。
なぜ木葉の一番近くにいるのが、自分ではないのか……。
あれだけの美貌を持ち、木葉を大事に思っている男がひとつ屋根の下にいるなど……。
――――許せない。
昔なら抑えられた嫉妬が、今は抑えられない。
荒れ狂う黒い感情が圭斗の胸を荒らし、痛めつける。
「木葉……」
木葉からは未だに何の連絡もない。
メールの一本も打てないほど体調が悪いのだろうか?
とも思ったが、もしそうであれば冬青が病院に担ぎ込むはずだ。
となると、木葉が何の連絡もよこさない理由は……。
「……」
いろいろな悪い想像が頭の中を駆け巡る。
あの家には、冬青だけではなく由弦もいる。
木葉と血が繋がらない男が、しかも木葉を想う男が二人もいるのだ。
冬青ではなく由弦と何かがあったのかもしれない。
二人のどちらかに携帯を取り上げられ、部屋に閉じ込められ、そして……。
「……っ、まさか……」